昨年12月23日の開館からすでに4万人が来場、静岡県富士山世界遺産センター
左に静岡県富士山世界遺産センター、右に富士山
2013年6月に世界遺産に認定された富士山。日本人にとって古くから信仰の対象として親しまれ、今もなお富士を目の前にするとどこか身が引き締まるような気持ちになる人々も多いだろう。
昨年12月23日、新たに静岡県に「富士山について更に深く究めるとともに、その美と伝統を伝え、広く国の内外に知らせ、その秀麗な姿と比類のない文化的価値とを、永く守り続けること」(遠山 敦子同館館長)を使命として静岡県富士山世界遺産センターが誕生した。オープンから1ヶ月も経たずに、来場者すでに4万人を超えているという。
江戸時代の富士山絵画約200点を高精細および原寸大画像で紹介する「描かれた富士山」(センター内部)
スロープをのぼりながら平地から頂上にいたる擬似登山を体験(センター内部)
同館の松島仁研究員は「坂茂氏設計の館内では、スロープをのぼりながら富士山の疑似登山体験を楽しめるコーナーや、国内外から江戸時代の富士山絵画200点を集めタッチパネル上で拡大・縮小しながら高精細画像でご覧いただくコーナーほか、世界遺産富士山を多面的に学んでいただけるような展示を設けました」とセンターの魅力を語る。
静岡県富士山世界遺産センターの正面
同センターの設計はプリツカー賞を受賞し、「紙の建築」でも知られる坂茂が担当。地上5階だてで、壁面は富士ヒノキを使ってくみ上げられている。逆円錐形の姿は湧水を引き込んで作られた前面の池にうつると富士山になるといった趣向もこらされている。最上階のホールや屋外テラスからは、富士山の眺望がなにものにも遮られることなく見ることが可能という抜群のロケーション。
現在は企画展として「「富士山の曼荼羅(まんだら)~参詣曼荼羅(さんけいまんだら)にみる富士山信仰の世界~」が開催されている。参詣曼荼羅とは、主として16~17世紀にかけて、霊場(寺院・神社)への参詣を目的として制作された宗教的な案内絵図のこと。現存するのは17世紀以降につくられた作品を含め約150点。同センターでは、富士山を対象として描かれた富士参詣曼荼羅6点の高解像度の複製本が製作されているが、今回の開館記念展ではその6点の作品が一堂に会する貴重な機会となっている。
会期:2017年12月23日(土)〜2018年2月12日(月)
会場:静岡県富士山世界遺産センター
開館時間:1〜6月・9〜12月 9:00 ~ 17:00、7、8月 9:00 ~ 18:00
※最終入館は閉館の30分前休館日毎月第三火曜日、施設点検日
※ただし、第三火曜日が祝日の場合は開館し、翌日が休館。年末年始は12月27日から1月3日まで
観覧料:観覧当日の常設展の観覧券(大人300円。15歳以下・70歳以上または中学校、高等学校及び大学の在学者並びにこれらに準ずる者、障害者及び障害者の介護者は無料)が必要