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【気になる1点】戸谷成雄《森Ⅳ》:世田谷美術館コレクション選 緑の惑星 セタビの森の植物たち@世田谷美術館


外谷成雄
戸谷成雄《森 IV》1991-1992年 木

植物、自然、花は古くから美術のモチーフに使用されてきました。現在、世田谷美術館では、植物をテーマとした所蔵作品約130点を展示した「世田谷美術館コレクション選 緑の惑星 セタビの森の植物たち」が開催されています。日本画、洋画、工芸、彫刻、そして現代美術、ジャンル毎に別に並ぶのではなく、[森林][風景][庭園][花園][楽園]と5つのテーマに沿って配置されたちょっと珍しい展示です。アンリ・ルソーと向井潤吉や、アンドレ・ボーシャンと三岸節子など、意外な取り合わせに思いますが、逆に、それぞれが響き合って、新しい魅力にも気付かされる展覧会です。


今回の「気になる1点」は、展覧会の入口をはいってすぐに目に飛び込んでくる戸谷成雄さんの《森IV》です。2メートルを超す木彫の柱が並んでいます。それぞれ、チェーンソーによって彫り込まれていて、屈曲する無数の線が生み出されています。不思議なリズムとエネルギー、大地から栄養を吸収し、成長していく植物の生き様、そしていつか朽ち果てる日まで、連綿と紡がれていくいのちの記憶。一つとして同じものはない。ここにある樹木の立ち並ぶ森は、同時に人々の営みを造形化したものといったイメージも感じられます。


戸谷さんは「『森』っていうのをメタファー的に使ってきたけれども、その元になっている構造には、基本的に⼭と⾕との関係がある。⽇本、東アジア全般にそうだと思うんですけども、⼤体国⼟が森林に覆われている。その森林のベースになっている のは、⼭と⾕。頂点があって⼀番低いところがあって、⽔が流れている。そういうでこぼこの構造の中での精神の在り⽅は⼀体どういうものなのか、という⾵に考えるわけです」(ShugoArts「インタビュー 秩父アトリエにて 2016.10.28」)と以前のインタビューで語っています。


一木から形を彫り起こす造形は、鉈彫の立木観音など日本でも古くから行われてきました。そこに現代的なチェーンソーを使って戸谷さんは形を彫りおこしていきます。チェーンソーの刃先は、おそらく細かな作業は困難かとも思われますが、だからこそ逆に人の力だけではままならない、彫る木そのものの声のようなものが形としてすぐい上げられていくのではないでしょうか。


一人、鬱蒼とした森に足を踏み入れた時、そこには人の力ではいかんともしがたい恐怖を感じ、同時に包み込まれているという安足感をもおぼえます。そうした森のもつ気配が、《森 IV》からは漂ってきます。


みなさんも、「世田谷美術館コレクション選 緑の惑星 セタビの森の植物たち」でお気に入りの1点を見つけませんか?



 


緑豊かな風景画、色とりどりの美しい花々、植物をモチーフにした作品は数多く制作されてきた。この展覧会では、世田谷美術館が所蔵する古今東西、様々な手法で植物を表現した作品約130点を展示。



会  期:2025年2月27日(木)〜4月13日(日)

会  場:世田谷美術館(東京都世田谷区砧公園1-2)

時  間:10:00〜18:00(最終入場時間 17:30)

休館日 :月曜日

観覧料 :一般500円、65歳以上400円、大高生400円、中小生300円、未就学児無料

※障害者の方は300円。ただし小中高大生の障害者は無料。介助者(当該障害者1名につき1名)は無料。






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